
この『僕』というのは、実は、私ムルソー・イングリッシュスクール学長、中川祐樹のことです。
音読の効果は、脳科学を専門とする科学者やいろいろな学識のある方がその効果を科学的に証明しています。しかし私は、私自身の体験をもって小中高のお子様をお持ちの保護者の皆様にご説明することが、もっとも説得力のあることだと思い、僭越では御座いますが私自身が英検準 1 級に合格するまでの話しにからめて音読の重要性と効果をお話させて頂きたいと思います。
本来ならば、こういった場合、『英語嫌いな私が、英語が得意になった』というインパクトのある題名、内容の文章がいいのでしょうが、正直なところ、私は英語が嫌いだったことがありません。もちろん、英語を勉強する中で壁にぶつかったり挫折しそうになったこともあります。ただ、いつも英語は好きでした。そのあたりも英語を上達させる上で重要になってくると思いますので、英語との出会いから話を進めてまいりたいと思います。
英語との出会い
私が英語と始めてであったのは、小学生のときに通った進学塾での英語の授業です。 20 年近く前になりますから、その時は、“英語“だけでなく”塾“が真新しかった時代です。私は、ちょっと遠くまでバスを乗り継いで塾通いをしていました。小学生ですから、英語は塾で習う科目ではありませんでした。ある日担当の女の先生が、中学校になったら習うからその準備として、英語の授業をされたのだと思います。ですから英語をその塾で習ったのはその時だけでした。そして確か、アルファベットの授業だったと思います。なにをどのように習ったのかは覚えていません。ただ、新しく習う英語というものに触れて、楽しく心がときめいたのを覚えています。
結局、英語との最初の出会いは、その一度だけだったのですが、私の頭の中に、英語は楽しいものだとインプットされたことに違いはありません。
恩師との出会い
中学生になると私は、将来私の恩師となる先生に出会います。その先生からは、やはり『英語の楽しさ』を教えられました。英語の授業がとても楽しみでした。あの授業前のドキドキする感覚、今でも忘れられません。先生は、英語の音読を推奨されており、音読を重ねて暗唱までできるようになったら教科書にはんこを押してもらえるのでした。そのあたりから自然に私は音読をするようになりました。音読が大事だ!というような薀蓄など微塵もありませんでした。
そこで私は思います。英語自体にももちろん魅力はあるかもしれないが、子供が魅力を持つかどうかは、その指導者による、ということです。英語は、地味な学習を要求されますから、英語が好きでなかったら、単語が頭に入っていかないのも当然です。こういうことを言うと、英語が苦手な方や英語が苦手なお子様をお持ちのお母様からそうすかんを食らうかもしれませんが、私は、英単語を覚えるのが喜びでした。楽しくて仕方がないのです。その原動力はやはり英語が好きという気持ちでありました。
話は音読に戻りますが、音読をするためには、その前に必ずしなければならないことがあります。それは、英語を読める、ということです。先生の授業では、そのほとんどの時間、英語を声に出して読んでいた記憶があります。先生には、失礼ですが、あんまり文法を習った記憶はないのです。その他にも、 NHK ラジオの基礎英語というラジオプログラムを毎朝聞くように言われました。その基礎英語のテキストにある本文も、やはり声に出して読んでいました。とにかく、英語を読むことが先生の授業の中心をなしていたと記憶しています。
落ちこぼれ時代
高校時代、一転私は、英語の落ちこぼれになりました。英語は好きでしたが、その高校の受験を主眼とした授業に嫌気がさしていました。というか、要はついていけてなかったのです。高校 2 年生までは、あれほど成績のよかった英語の成績は、たまに赤点をとるほどに悪くなっていました。
しかし高校 3 年生になるくらいの頃でした。このままではいけないという気持ちが飽和していたのだと思います。学校の帰り道、自然と僕は通っていた中学校に向かって歩いていました。中学校に入り教室をのぞくと、あの先生の表情と、クラスからは音読をする声が聞こえてきました。私は、これだ、と思いました。英語を楽しんでいない自分を発見したのでした。
それから私は英語を楽しむようにしました。楽しむといっても、あいかわらず授業は文法ばかりの私にとっては退屈な授業です。私が英語を楽しむためには、音読しかありませんでした。試験範囲の教科書を全て暗記しました。高校の教科書ですから内容は簡単ではありませんし、数冊テキストが他にもありました。でも、何回も何回も音読しました。そしてついにはあっという間に暗記してしまいました。テストの結果が返却されるとき、先生が「おやっ」という顔をして首をかしげながら私に答案を返したのを覚えています。それまで、その高校の先生には、私は英語が苦手としか写っていなかったからです。そのテストで、どうにか学年でも上位の成績を残すことができ、壁に名前が張り出されていて、こっそり見に行っては心の中でガッツポーズをしていました。
そのとき、私は、無意識的に、英語力を高めるために、音読が計り知れない効果をもっていることを実感していたと思います。それ以降も、私は、残りの高校生活も音読を続け、高校 3 年生の教科書はほぼ暗記してしまっていました。
英検準1級合格
英検準 1 級を受ける動機は、音読の効果を証明するためでもありました。本屋に行けばありとあらゆる対策本がありましたが、私はその中から一冊だけ選び、それだけに絞って学習しました。勉強法は、音読だけです。もちろん単語が読めなければ音読できませんから、一つ一つ発音記号を頼りに発音を調べました。「意味が分かっていない単なる棒読みは、なんの意味も無い」という恩師の言葉を思い出し、意味をしっかり取るようにしました。そうやって音読を繰り返し、最終的にはそのテキストをほぼ暗記してしまいました。英検準 1 級のテキストは、ネイティヴの人がみても眉間にしわを寄せるようなとっつきにくい位難しい文章ばかりです。合格率だけを見ると受験するのをやめようかと迷うような倍率です。しかし、私には、音読で英語を攻略できる、というゆるぎない自信がありました。結果的に一度で合格することができました。
私は、思います。音読が大事なことを知ることはもちろん重要ですが、音読によるなにかしらの成功体験を積む事がより重要だと。私は、高校時代に落ちこぼれていた英語を音読によって克服できたという経験がありました。そこまでのものは必要でないにしても、小学生・中学生・高校生のいずれも早いうちに、音読により英語でなにかの結果を残すことが大事だと思います。
英検準 1 級では、 2 次試験があり、渡される四コマ漫画を即興で、英語でストーリーを作り、その後に、試験管がだす英語の質問に英語で答えなければなりません。私は、そこでも英語の音読の効果を実感しました。私は、英語版サザエさんがその試験には一番向いている!と思い、やはりその漫画を一冊暗記してしまいました。 2 次試験でも合格通知を受け取り、英検準一級に合格することができたのでした。
私は、英会話にも音読の効果を実感していましたが、それから音読についていろいろな事を調べるうちに、音読が、科学的にもその効果が実証されており、同時通訳の世界でも中学校の英語の教科書を音読するプログラムがあることなどを知りました。そうやって私の場合は、あとあとになって音読の客観的な効果を実感することになったのでした。
そして現在
優喜塾では、英語のカリキュラムに音読が組み込まれています。もちろん塾だけでは音読は足りませんので、学校でも音読を広く取り入れて頂くよう働きかけているところです。ムルソー・イングリッシュスクールにおいても音読会という音読専門のコースがあるのも、じっくりと音読だけの時間を子供たちのために設けることにより、より英語力を向上させることができると思っているからです。
ただし、私は自分の体験を振り返り、指導者になった今、音読ありき、ではならないということは常に肝に銘じております。英語が楽しいことを子供たちに伝えることこそ、全てだと。そのためには、日々授業の研究を重ね、なにより指導者自身が英語を楽しむことが必要だと思っております。
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